上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2010.09.14 草案2
もう戻れない懐かしい日々

悪ノで試し撮りがてらロケ行って来たんだけど、レポはまた今度!w
8歳設定だったので、

2人してほとんど顔写せない罠。※セリーンはシュッとした美人ですw


またしてもいつものカフェでプロット書いてきたので、追記で草案投下!




朝起きて自分の靴を磨き、髪を梳かして結ってから前日にアイロンされたワイシャツに袖を通す。
年齢に応じてリボンからスカーフになったタイを整え、カフスをとめてジャケットを羽織る。
ドア近くにつけられた鏡で最後の身だしなみのチェックをして部屋を出る。
早足で長い廊下を歩き、角を曲がるのと懐中時計で時間を確認するのはほぼ同時。
定刻の2分前にお部屋の前に着けば、メイドが無機質めいた挨拶をしてあの日と同じく宝石のような靴を僕に手渡した。
6年前のあの日から毎日繰り返される朝の光景。

王女リリアンヌ様のため、その日のドレスに最もふさわしい靴を履かせる。

それが僕の1日の最初の仕事だった。




ふと窓の外を見れば今日は曇り。

(そういえば、あの日もこんな重たい曇り空だったな…)








Under the Rose 2




「・・・ッ」
曲がり角にさしかかって、また1つ馬車が大きく揺れた。
身を硬くした僕に大人の女性の声がかかる。
「城にはまだ時間がかかる。今のうちに休んでおきなさい。」
城に行けば覚えなければならないことが山のようにあるのよ。

そういってすぐ向かいに座っている執事長が手元の本のページをめくる。
最後に少しだけ視線を上げて微笑んだ。優しげだが、さすがに王家を任されているだけあって、抜け目の無いオーラをひしひしと感じる。
はい、と縮み上がりながら返事をしたはいいが生まれて初めて乗る馬車の揺れに慣れない。
快適そうだといつも羨ましく思っていたが、まったくだ。これなら直接馬に乗った方がよほどラクだ。
僕は小さな小窓から流れ過ぎて行く景色を何とは無く眺めていた。
(最近、バタバタしてたな…)



変化は滅多に来ないポストマンと共にやってきた。


リンと別れて数日後に届いた豪華で重厚な小包。
中には、
高級シルクで作られたリボンタイワイシャツとシルバーボタンのベスト、精巧な刺繍の生地で作られたジャケット、それに羊皮紙の手紙。



”アレン・アヴァドニアに王女リリアンヌの召使としての国家奉仕を命じる。”


封蝋には心に閉じられた薔薇。

この国の絶対権力。




リリアンヌ・ルシフェン・ドゥートゥリシュの勅命だった。



「俺は反対だ。」
ダン・とグラスを机に叩きつけて吐き捨てるように言う養父(ちち)
浅く注がれたウィスキーがとろみのある音を立てたのを聞いてから、義姉(あね)が「私も」と小さく、でも力強く口にする。
重苦しい空気。

(でも、)

”必ず返しに来るの。”

「でも…」


沈黙を破ったのは、僕…というより、”彼女”だった。


”約束よ、レン”


「女王様の言うことには、逆らえない…よ」


子供の時ながら、ずるい言い方だと自分で思った。
リンは悪くないんだ。
僕が行きたかった。君の傍に。

確かに、この国は日に日に貧しくなっていた。
その原因が、最近王位を継承した彼女であることを、大人同士の噂で当時の俺も知っていた。
それでも、

(会いたい。もういっかい)

その一心だった事だけは、8つの子供らしく、純粋で、一途で、


幼かった。



俺の意志の固さを瞳から感じ取ったのか、父はため息とも悪態とも取れぬ声を出して俺を見た。
優しくて頼もしくて、いつも弱い者の味方だった父が初めて見せた、暗い瞳。
つい最近まで王室親衛隊を勤めていた父はきっと、この国の成り立ちの何もかもを、その大きな背中に背負って来たのだろう。

「この話は、墓まで持っていくつもりだったんだがな…」
リリアンヌの名が刻まれている以上、そもそもこちらに拒否権など無い、半ば諦めにも近い声で、父は話し始めた。

真実を、知っておけ。

核心に触れる前にそう最後に付け足して。




「…揺れるわね」
酔った、というようなそぶりで向かいの思慮深そうな女性がこめかみに軽く手をやり、読んでいた本を閉じて目を閉じた。
今その行動を見たら冗談だろうと言って笑うところだ。彼女はかの有名な三英士が1人、マリアム・フタピエ。
馬車の揺れごときで体調を崩すような人間ではない。
どうやら安心させるため自分が先に眠ろうとしているらしい。
彼女の心遣いは幼かった俺には効果覿面で。
ようやく肩の力が抜けたと思ったら、強烈な睡魔に襲われたのを覚えている。

沈んでいく意識の中で、昨晩告げられた【真実】が、要領のまだ少なかった僕の頭をぐるぐると回っていた。


時折傾けられるウィスキーグラスの音、義姉の唇がわななく様、
「それでも俺はお前を息子として心から愛してる」
そう言い切って頭を撫でてくれた養父の澄んだ瞳を忘れない。



そうして俺は知ったのだ。

双子は不吉だということ。
この国が女系だということ。

それでも前例がなく、相当揉めたということ。

処分決定後、哀れに思った父が極秘裏に僕を助け引き取ったということ。





リリアンヌ・ルシフェン・ドゥートゥリシュ




(彼女が、俺の双子の姉だということ。)




ガチャ・と、扉が開く音でハッと我に帰った。
着替えを手伝っていたメイド数人が会釈をして部屋を出てくる。
全員を見送ってから1つ深呼吸。
何年経っても、この瞬間は緊張する。
ノックを3回、

「どうぞ」

中の声を聞いてから入る、この城でもっともきらびやかな寝室。




「おはようございます。リリアンヌ様」



君は王女、僕は召使

この関係はずっと永遠に続くだろう。
君が君であるかぎり。
僕が僕であるかぎり。



家を出る前の晩、真実を聞いた日の最後の養父の言葉が響く。

「このことは当然、リリアンヌ本人も知らない事だ。」

知らなくていいと思った。
知らなくて良かったと思った。

彼女1人が光り輝けばいいと。

その1番の傍らにいたいと強く思った。



「おはようアレン」
今日は良い天気ね、と言われてはいと答えた。

彼女が良い天気といえば、この曇り空は、過ごしやすくて”良い天気”なのだ。

僕が答えれば、満足そうに彼女は笑う。



この笑顔を見守り、育み、慈しみ、
誰よりも深く愛そうと決めた8歳の誓いに今も後悔は無い。

たとえ彼女が、




「おみ足を」





世間も現実も、己が弱さも知らぬ、



悪虐王女であったとしても。

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。